『琢磨君は甘えん坊だね。ママから離れないんだ。



琢磨君僕と遊ばないか?』




目が見えないのに何をして遊ぶのだろう?





私は心配でならなかった。




遠矢君は一冊の絵本を持って来た。





そして椅子に座り、琢磨を膝の上にのせ、





その絵本、【がちょうのたまごのぼうけん 】を読み出した。





目が見えないなんて思えない、





絵本を遠矢君は読んでいる。





又その声が優しくて、私まで絵本の世界に引きずり困れた。





琢磨もがちょうのたまごのぼうけんお話を静かに聞いている。






こんな琢磨を初めて見た。





愛子さんが、がちょうのたまごのぼうけんは、




私が点字で遠矢に読ませたの。





いつの間にか暗記しちゃったみたいでね。





絵本を読んだ後は琢磨と折紙をやりだした。






琢磨はまだ何も出来ないけど、遠矢君がトンボやカブトムシ、カエルなど一杯折るのを楽しそうに見ている。





これが又凄い。






目が見えないなんて信じられない。