着いたのは体育館の裏。

「ね、レイカちゃん、私がなんでレイカちゃんの小学生時代を知っているのか、聞きたいでしょ。」

「は、はい……」

「この人がいるから、知ってるんだよ~!ほら、アキ、来て~!」

アキ……?


なんか聞き覚えのある……

あ!

名前、フルネームでわかる。




神野アキちゃん。




私の小学生時代のたった一人の親友……!

クラスが離れたのは、3、5年生。


親友はいたけど、グループを作るときはひとりぼっち。だってアキは人気者で、どんなときでも、ただ立ってるだけで人が寄ってくる。

私は、その人達にまぎれてまでアキ同じグループになろうとする度胸はない。

でも、アキは私に優しくしてくれた。
二人きりになったときは、とっても楽しかった。

周りの人達からみたら、休み時間はアキは別の友達に囲まれて一緒にいることができない。それだと友達には見えないから、私は『一人ぼっち』と見られてたけど、アキは私の心の支えだった。


そういえばアキって、小学校を卒業してすぐにこの辺に引っ越したんだよね。


……でも、アキはそんな恥ずかしいことばかり教える子じゃ……ない……はず……………………。




















「1年C組、つまり私達B組の隣!、のアキちゃんでーす!レイカちゃん、面識あるんでしょぉ?」

「おー、レイカじゃん!おっひさ~w」

「ア………………キ……………………………………なの?」

アキは変わっていた。

髪の毛は金髪でぐるんぐるん。

『おっひさ~』なんて言葉あのアキには似合わない。

それに、アキが浮かべる笑みも少し邪悪な雰囲気で……。

語尾がギャルっぽく弾んでいる。

服装だって。女子は着けなきゃいけないリボンがない。



天使みたいな女の子だったのに。

神野アキって名前の通り、天使みたいに優しい神様。そんな子だったのに……。


小学校で心から笑えたのは、アキと一緒にいたときだけだったのに……。


今の状況は、『小学生時代の親友と感動の再開……!』ではなかった。その真逆。



裏切られたの、私……?

いや、まさか、そんなわけ……。


「そ、アタシが、チヒロにあんたの恥ずかしい小学生時代を教えたってワーケっ。」

「なんで……!」


その時、小学校の屋上で夕焼け空を見上げながらアキが言ってくれた言葉が脳内再生された。





『アタシとレイカは、親友っ!』













『親友』………………………………………………………………


















『親友』………………………………………………………………



















「っ、『親友』って、言ってくれたじゃんっ!」

私は泣きながらそう言った。




















「ギャーハハハハハハ!!!!」

「アキっ……!?」

「レイカちゃん、信じてたんだ~!ちょろすぎ~!」

「ちょ~レイカ、ウケる~。あの時屋上で言った言葉なんて、嘘に決まってんじゃ~ん!!小学生の時レイカと一緒にいたのは、ひとりぼっちのレイカが面白かっただけなんだけど~!」
















「そ……………………んな…………………………………………」


私はへなへなと崩れ落ちた。





「信じてたのに……」





「親友だって、思ってたのにぃ…………っ!」