今より遥か昔には、呪いと言うものが存在していた。
だが、呪いはいつしか人々によって使う事もなくなっていった。
でも、一つの集落に住むその者達だけに引き継がれていった。
だがそれは、人々は知らずした。
鬼城家……呪いを操る王家。
一つの集落という事もあり、人々は名を知らずした。
今もなお、鬼城家により呪い……呪術は引き継がれているのである。
引き継がれて数百年。
今を生きる鬼城 瑞葉(きじょう みずは)
に引き継がれるその血、その力が。
「お母様……私」
「瑞葉…こればかりは……ね?」
「嫌よ!」
お母様……鬼城 智美(きじょう さとみ)から私へと……呪術師の力が引き継がれるのだ。私は普通に過ごしてきたこの14年間が消えてしまう……それが嫌なのだ
「瑞葉……大丈夫よ。もう、あなたは高校生になるし、皆と離れるのよ?」
「なんで!?離れてからでいいじゃん!」
「……古くから十五になる子…呪術師の力継ぐこと。……あなたはもうすぐ十五なのよ!誕生日の日に…儀式をするの……だから……ね?」
「……呪術師を受け継いだらどうなるの…?同じ日々を過ごすことができるの?」
「それは……」
「瑞葉…それは難しいかもしれん」
「お父様」
お父様……鬼城 慶太(けいた)が突然口を開いた。
「呪術師だ。制御するにも時間がかかるかもしれない。それに、外部に知られてはならぬ……鬼城家の本来の住む場所……そして、呪いの事。今の人々は呪いを軽くしか考えていないからな。だが、それでもいいとは思う」
「……」
「瑞葉にもいつかわかる時が来るわ。呪いの力を広めてはいけない事。呪術師が今も受け継がれている意味も……」
「引き継いでくれないか?…瑞葉」
「…私がやらないとダメなんでしょ……仕方ないじゃん」
「……ごめんね」
「ううん…」
「早速準備をしてくる…。…鬼妖霊村(きようれいむら)へ移る為のな」
と、言葉を放ち和室から出て行った。
「鬼妖霊村?」
「ええ。……鬼妖霊村は本名鬼呪神城村(きじゅしんじょうむら)というのだけど……集落を悟られないようにそう呼びあったのよ……。鬼城家、神道家が住まう集落よ……神道も呪術師の家系。でも、私達の家来のような者かしら…」
「そう……。……あれ」
「瑞葉どうしたの?」
「同じクラスに神道 亜沙飛(しんどう あさひ)って子いるんだけど……」
「…鬼城と神道なんて鬼呪神城の者だけが持つ苗字。じゃあその子も……鬼呪神城の」
「亜沙飛君…物静かでいつもホラーとかの本読んでて、用がないと誰にも話しかけないし、話しかけてもそれだけ話して構いもしないんだよね……皆は不思議君っていう目で見てるよ……」
「…そう」
「でも、たまにすっごい暗い時があるんだよ……。怒っているようでもないし、かといって悩んでるって感じでもないのに……」
「神道家の習わしかしら……たしか…………」
「お母様?あ、ちょっ待って!」
急にすっと立って和室から出ていくお母様を追いかけていった。
誰もいない和室に、一つの黒い影が現れた気がした。
廊下を歩いて図書室という程ではないけどそれなりに本が置いてある部屋に来た。
「たしかこの部屋にあったと思うけど……」
お母様は部屋に入るとすぐに奥の棚へ歩み寄っていった。
私はお母様の後ろを離れないように歩きながら誇りのかぶった床に置いてある本を眺めた。
奥の棚に着くとお母様はひとつひとつ本を指でなぞっていく。
それを私は見ていく。
「えぇっと……あったあった」
そして、古めかしい一つの本を取り出した
。
「神道……?」
私には読めない。せいぜい読めて神道の文字。
「神道習学詩。神道について書いてあるの。……でも、今のようなコンピュータがないから筆記だけどね。書き漏らしがあったりして書き足しがあるけど……一応見れそうね…」
パラパラと本をめくっていく。
「ここね……」
そこには神道の決まりのようなものがあった。
《神道家の習
一、十三になる者は呪術師の力を得るべし。だが、十五になるまで村に入ることを禁止する
一、鬼城、神道以外の人との関わりをできるだけ無くせ
一、神道の女性は働きに働き、男性は鬼城を守るべし
一、男児として生まれた者は鬼城の女児と結ばれし。なお、残ってしまった男児は一生鬼城に使える事そして、呪術に付き合うべし
一、十五になるまでの子を持つ者は村を離れ育てよ
一、上記を守れぬ者は村にいる事を許されぬ。追放、そして神道の名を捨てよ》
「これに基づいてのようね……彼も可哀想ね」
「うん……。あれ、じゃあ、お母様……」
「そうね。神道家の人よ。鬼城は神道の者としか結婚出来ないから……。でも、この決まりを守れない人は神道と同じように追放され、呪術師の力もなくなる。……今も昔も憲法とかあるじゃない?でも、村に行きさえすれば何も関係ない。だから、いとことか兄妹で子を生んでいたらしいし、今も習わしで無理ならそうやって繋いでいるわ……瑞葉はきっと亜沙飛君と……」
「え……」
「神道と鬼城は契約しているも同然だもの。少し習わしは同じよ。鬼城という文字が書いてあるこの本のことは……。昔は紙なんてもの存在もしていないし言葉で伝えていたから抜けているらしいかったけど、再び直したとも聞いたから村に行ってからじゃないとわからないなぁ……。ここの棚にある本は村に関係しているから見といても損は無いわね。十五になれば村に行くし……まあ、見ておきなさい」
「はーい」
「私は、お父さんの手伝いしてくるから、瑞葉は本読んでてもいいし、部屋にいてもいいし好きにしていて」
「はーい」
「扉は開けておくからねぇ」
と、告げお父様の部屋へ向かって行った。
「さあてと…読みますか……。にしても、沢山あるなぁ……。ん?この本は…?」
と、手にしたのは鬼呪神城の神について。そして、村の教についてだ。
【目次
一、鬼城と神道の関係
一、鬼呪神城の教徒について
一、鬼神教の祀る神
一、 】
「なにこれ……最後の奴だけ黒く塗りつぶされてるし……全然読めない……。二つ目からかなぁ…関係はなんとなく聞いたばっかだし……」
と、パラパラとめくり教徒についてのページを見つけた。
「これか…。えっとぉ、なになに……」
【鬼呪神城の教徒・神
鬼呪神城村には一つの教徒が存在する。
そして、村にいる者全てその教徒である。
鬼城家と神道家の名をとり、鬼神教と名付けられた。
鬼神教は呪いを使う為に神を祀る。
鬼神教の神
鬼神教の神の名は『鬼神 実里誇(きしん みのりこ)』。
名前の通り女性の神。
女児の姿をする。
実里誇は実際存在していた人物であり、元々村の長を幼い頃から受け持っていた。その中で未来の為に自分自らを売った。
本来の名は
『鬼城 実里誇(きじょう みのりこ)』呪術師最大の力を持つ子。
実里誇は未来を力でしり、自分自ら呪神となった。
神・実里誇と称した
この娘のおかげで未来、引き継がれる限り鬼城と神道の間で呪術師の血は流れ続ける。
タスケテ
タスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテ】
「っ!」
黒く塗りつぶされ目次の言葉がわからなかったページを見ると赤い文字でタスケテと書いていった。
「なにこれ……気持ち悪い……。でも、大体わかったかな……」
本を閉じ元あった場所に戻した後すぐに
「うふふふ……タスケテェ?……ミズハ?」
「ひっ!」
私の左肩には冷たく血の様な赤い左手が置いてあった。私は怖くて怖くて固まって動けなくなった……。
「ミ…ズハ……タスケ…テ。うひひ…アヒャァ……」
「狂ってる……」
冷たい右手が私の頬を触る。私のお腹の感覚がおかしくなる。何かが通ったかのように。
「ひゃあっ!」
私の目の前に全身真っ赤で髪が腰くらいまである女の子が両手を私の頬にあて、私を見て微笑んでいる。そして、私は驚き右手を大きく振る。でも少女の体に当たる感覚がなく、右手の甲が本棚に当たる。
「痛っ!」
「アヒャヒャヒャッ。イタイ?イタイノ?ワタシ…イタイ…イタイヨ……。ワタシ…ノ…ガ……イタイ」
「あなたは誰!?誰なの!教えてよ!!」
「……シハ……ノ…リコ。ミノリコ……。アヒャァ……」
「…実里誇!?なんで……」
「…」
赤い手は頬から離れ、赤い手は青白い手になった。
「瑞葉……」
「実里誇様…」
「瑞葉…今の私(わたくし)には時間がないわ。そして、この姿は神であった時の姿…」
「神であった?…じゃあ、今は!?」
「今は…心を乗っ取られた哀れな化け物よ……。でも、こうやって話せる時があるの……」
「…そうなんだ」
「それでも一時的だから……」
「うん。なら、早く!」
「今の私が伝えたい事…それは…この呪いを解いてほしいこと……」
「呪い…を?」
「ええ。化け物としての力は呪いのせい……。私が神になった時にかけられた…」
「え……。呪術師は裏切ったの!?」
「そうなのかもね……。その当時は呪術師の力が弱まっていて、変な病気も流行っていたし…。でも、神転生にはたくさんの呪術師の力が必要で、高度な技…高度な技を使うには何か犠牲になるかかけた者に何が起こるのよ……それが何故か私になった……。何故そうなったのかがわからない。呪術師達がそうしたのか…どうかも……。化け物となったのは呪い……いいえ、人々の負そのもの。負は呪いとは直接関係はないけれど、憎悪として高まればそれそうの呪いになるの……。人の憎悪が高まり、私を祀る場に人々は祈りに来た…。…私はそれを見捨てる事はできなかった。だから、私はその憎悪を受け取った……。私が自業自得の事をしてしまったのかも…ね。化け物は祀る場だけで留められなくなってきている…いずれ村にも……。だから、今は村にいないあなた達に助けて欲しいの!」
「あなた達……?」
「私は一人の人と話しているのではない…ニ人に話し掛けているわ。瑞葉…亜沙飛……。鬼城と神道の次を受け継ぐ者達…。…私はあなた達に委ねます……」
「ちょっ!」
「アヒャヒャヒャッ」
また、襲われた時の姿に戻ってしまった……
「コロス…コロシテヤル……呪ッテヤル……アヒャヒャヒャッ」
と、告げ消えていった。
「瑞葉!瑞葉!」
「お母様…?」
お母様が私の元に寄ってくる。
「怪我はないっ!?」
「うん。大丈夫だよ…」
「良かったわ…」
「うん」
「あの化け物は…実里誇様だったのね……」
「お母様…見た事があったの…?」
「ええ。子供の頃にね……。あの頃はあそこまで変わられてはいなかったのだけど……」
「そう…なんだ」
「とりあえずこの部屋から出ましょうか…お父さんにも話さないといけないわね……」
「うん」
と、言って部屋を出た。
「……そうか…」
「ええ……」
「瑞葉の誕生日まで一ヶ月か……」
今は二月。私の誕生日は着実に近かった事に気が付いた。
「もうそんなに…近かったのねぇ。今日は、二月の……」
「瑞葉、部屋に戻っていなさい。ちょっと父さんと母さんで話をするから」
「はい…」
私は席を立った。
部屋のベッドに寝そべり買っている白猫をなでる
「よしよし、ユキちゃん」
「ニャー」
「やっぱり、ユキちゃんは可愛いよ…」
「ニャー」
「これからどうなっちゃうんだろうね…」
「誕生日迎える1日前に村に行くんだよ」
「へぇ……ん……」
「どうかした?」
「しゃっ…喋った!ユキが!」
「瑞葉の持ってる力だろう…。だが、しかしおかしいなぁ……」
「な…なにが……」
「普通、村について儀式が終わってから聞こえるはずなのになぁ……」
「そ…そんなの知るわけないじゃんっ」
「ですよニャー……」
「…はぁ」
「でも、実里誇の気配したニャン。禍々しい気配だったけどニャー…」
「ねぇ、ユキちゃんって一体何者!?」
「そのうち知る事にニャるが、今知るかニャー?」
「できるだけはやくがいいよ……村に行ったら多分一週間はバタバタだろうしさぁ……」
「わかったよ……。お母様から言って貰おうと思ってたけど、瑞葉が言うのニャら……。ミーの名前は白虎(ハク)。白い虎と書くのニャ。元々は人間だったがなー。でもなー、実里誇と一緒でなー、別の者になったのなー」
「なんかテキトウになってますよ!」
「そうか?まあ、いいしょ」
「え……」
「話を再開するぞ?実里誇は禍々しい者を取り込んだ…ミーは呪術師の手伝いでこうなってしまったんだなぁ。決まりの奴でなぁ。姫君と結婚出来ず余り者として呪術に付き合うことに……でも、姫君に会えたこと嬉しかった。だから、ミーは頑張れた」
「ま…まって!って事は白虎って……」
「男だ!」
「えぇ!?名前完璧女の子……」
「幼い瑞葉が勝手に白いからユキ!って付けたろ……覚えてないかなぁ?」
「全くです!」
「そうかそうか……。でな、頑張って耐え続けその呪術は失敗に終わった。そして、新たに試し始めた。それはまとめて言えば『変換術』。その変換術で何にしようとしていたのかわからないが失敗だったらしい……だが、変換されてしまったわ!白猫と化してしまったミーは、村から追い出された。喋れる白猫として……。んで、居場所がなくなってしまった。だがな、姫君が可哀想だと思ったのか十五になる前まで村を離れることになっている一家に付いていくことになった。そして、子供は十五になり村へ帰った。そして、新たな子へと……無限ループだなぁ…そして、瑞葉の元に来た。呪術の副作用のせいで不老不死。心も体も青年だ!」
「そうとは思えませんっ!」
「だろうなぁ……。戻りたいぜ全く…」
「戻り方もわかんないんだね……」
「ああ。村に入れないからなぁ……古文書も見る事ができねぇ……」
「1つ質問いいです…か?」
「いいぞ!」
「白虎って何歳……」
「うーん。あん時は16とか?姫君と結ばれる相手が複数なら数週間において決まるからな……そっからの側近の、色々だからやっぱ、15か16だな」
「若っ!中年のおっさんかと思ったよ……」
「失礼な……。まあ、あの事件から数百年…?まあ過ぎてるし……」
「……はいはい」
「とりあえず、ミーはお母様の所に行って来るぜ!しばらくは警戒してなよ…異変が起きるかもよ」
「ちょっとやめてよ」
「禍々しい気配…この家を包んでる。いつ中まで来るかわからねー。気配はミーが察知してやる。まあ、たっしゃでな!」
と、言ってドアの隙間から出て行った。
そして、私は深い眠りについてしまった。
「あれ?ここは……小さな村?」
私が目覚めた時小さい村を見渡せる小高い丘にいた。
「なんかこの村……荒れてるなぁ」
道も整備されておらず、森の奥深くに存在しているかのように木々で村が覆われていて日があまり差し込んでいない。そして、見渡せる小高い丘の正面の遠くには鳥居が見える。
「なんか懐かしい感じがする…」
家も茅葺き屋根で古く感じる。まるで江戸時代よりも前に来たような感覚。
「ここは、小さな集落。鬼呪神城村」
私しかいなかった小高い丘には赤い浴衣を来た私よりも歳上の女の人が立っていた。
「鬼呪神城村!?」
「知らないの?鬼城 瑞葉姫」
「え……」
「まだ知らないのね…。…次はあなたの番なのに……」
「どういうこと……」
「…実里誇様の生贄よ」
「生贄っ!?」
「ほんの冗談よ。次って言うのはあなたがこの村の長になるの。だから、私は瑞葉の事を姫と呼んだの」
「姫…ですか……」
「そうよ。私から貴方にね」
「貴方のお名前は何ですか?」
「私?私は、鬼城 智美。本来はね……」
「…え?本来?じゃあ、今は……」
「今は、鬼城 実里誇(みのりこ)。名前を引き継ぐの。でも、名前長いじゃない?だから、村の人達は『みこ様』って呼んでいるけどね」
と、緊張状態である私を解こうと笑ってみせた。
「……今の長ってお母様…?」
「そう。でも、お母様は瑞葉の所にいる。私は記憶。長であった時の記憶。じゃあ、今は?というと、神道と残っている鬼城でなんとかしているの。でも、そういう事は十五年しかないから」
「……次の姫が戻って来るまで…って事だよね?」
「正解。戻って来たらすぐに儀式をして、お母様から瑞葉に姫の権利を渡す。そして、名前も…。儀式を終えれば瑞葉はみこ様〜。そして、親は生贄になるの」
「……どうして」
「子を育てて姫へと変わり自立する。その中で親というのはいらないの。っていうより変に介入されるとしきたり的にも困るのね……。そして、いいやり方が見つかったの。それは、実里誇(みのりこ)様への生贄。実里誇様はいつしか変わってしまった。そして、生贄を要求してきた。そこで余り者として親は生贄へとなる。これは最近の話で、実里誇様が変わる前までは村の民に帰るだけで済んだの。…残酷よね」
「……」
「本当は知らない方がいけないけれど、実里誇様を止めれるのは貴方だけ。こういう事情も知っておいた方がいいと思ったの。貴方が一番実里誇様に近いから……。貴方ならこれを終わらせられるから。前の生活に戻れるから……」
智子が私のいる丘から離れていく
「待って!」
智子は私の言葉を聞き止まった。
「……また会お?夢でなく、現実で…ね?」
「どういう意味!?」
智子の顔が黒くなっていく。それだけでなく周りも黒く変わっていく。
そして、全てが闇に包まれた。
私はすぐに目が覚めた。
「夢?……私が引き継いで姫になる?実里誇に……?待って…整理がつかないよ」
私は夢が現実のように鮮明に覚えていて現実と夢かはっきりしなくなっていた。
キィと、扉が開いた。
「お母様の所から戻って来たぞ」
「う、うん。おかえり」
「どうしたどうした?なんか暗いぞ?」
「う、うん。夢…だと思うんだけど……ちょっとね」
「夢?まあ、気になるし教えてくれぬかい?」
「うん」
私は、鮮明に覚えている『夢』を始めから終わりまで全て話した。
「……その夢は現実で起こった事。お母様は今のみこ様である事も事実。だが、お母様の記憶か……村を離れる前に何かしたのかも知れんな…。基本、記憶がこの世界に居れるなど有り得ない。だが、幽霊とかは有り得るがお母様はいきているからな。そして、夢に干渉したんだ。術をかけたのかもな。瑞葉のお母様は元々呪術を使わなぬ人だった。呪術師である者は呪術しか使わないが、…ミーの推測で悪いが、お母様は呪術ではない違う術を用いて瑞葉に記憶を残した。その姿は歳上のお姉さんって感じなら相当昔に残した物だろう。そして、今も上書きをさせている。現在を知るのは現在に生きる人々。上書きさせる以外に考えられない」
「そう……」
「まあ、呪術を使って残した訳じゃないんだ。体には害はないさ」
「うん」
そんな会話をして今日1日が終わった。
1日が過ぎ、また過ぎ…と。刻一刻と私の誕生日の日が近づいてきた。
3月7日
私は卒業式には出れない事がわかった。
明日の夕方にこの家を出るからだ。家の中には食べ物少しと寝巻き、なぜか寝袋程度しかなかった。もう鬼呪神城の方に送られているからである。
亜沙飛君は今日転校して行った。クラスの皆は疑問に思っていたと思う。この事を知るのは亜沙飛君と私の家族だけだから。
明日の学校が終われば全てが終わる。
友達もクラスの皆との思い出も…何もかも。
鬼呪神城村ではうまくやっていけるのだろうか。姫として務まるのか。亜沙飛とも上手くいくのだろうか。私の頭の中はそんな不安で押し潰されそうになっていた。
ユキちゃんこと白虎は私を元気ずけようと努力しているけれど、ユキちゃんも村へ行けばお別れになっちゃう…。私の力でどうにかなるのかな?でも、出来なかった時どうしたらいいんだろう。
「瑞葉?瑞葉!」
「……」
「ごめんなさい…普通の子に出来なくて、こんな仕打ちをさせて……本当にごめんなさい…」
「お母様だけのせいじゃないよ……お母様はお母様自身を責めないで……。だって、外国じゃなになに族ってたくさんあるじゃん…それと同じだよ」
「そう…なのかしら……」
「そうだよ!私が言うんだから!」
「…」
「瑞葉、明日は皆にお別れを言ってくるんだよ」
「はい。お父様」
「今日はもう遅いから寝なさい…」
「はい。お母様。……おやすみなさい」
と、告げてリビングを出た。そして、部屋につくと扉の前でユキちゃんが待っていた。
「明日やな…」
「うん」
「元気だしな…ミーはそんな顔見たくない」
「……うん」
「だ・か・ら、暗い!」
「うん……」
「……。明日学校まで行ってやるから!寝た寝た!」
「うん。おやすみ。白虎…」
と、言って床についた。
3月8日
「うーん……」
と、私は背を伸ばした。すると、部屋に白虎が入ってきた。
「おはよう。瑞葉」
「おはよう。白虎」
いつもと同じ会話から朝が始まる。私が鬼呪神城村に行ってからもこんな会話はできるのかなと、ついつい考えてしまう。そう考えつつ寝巻きから制服へと着替える。そして、時間割を整理する。
「今日で最後かぁ……なんか、そんな感じしないなぁ……」
「冬休みに入る前にもそんな事を言ってなかったっけ?」
「嘘っ!?」
「確か…だがニャー」
「……」
「瑞葉ぁぁ!瑞葉ぁ!朝ご飯よ」
「あ、はーい!白虎行こ!!」
「ニャー」
私は部屋を後にした。
「おはようございます。お母様!お父様!」
「いつにもなく元気ね。瑞葉」
「そうだな……」
お父様、お母様はいつもと変わらずだった。お父様はいつものように新聞を見て私に話す。お母様はキッチンから料理を運びながら言う。
(こんな楽しい日々は今日で終わりなのかな?)
私は椅子に座り手を合わせる。次にお母様は私の隣に座る。お父様は新聞を置いて手を合わせる。
「いただきます!」
いつも通りの食事。
いつも通り過ぎて気が乗らない今日の私。まるでお父様とお母様が変わったように思えて仕方が無い。
私は食べ終わると席を立ち自室に戻りリュックを取り玄関へ。
「行ってきまーす!」
この言葉もさいごなのかな?
何気ない言葉ひとつひとつが最後に感じてしまう。不思議な感じだ。
「おはよう!」
「あ!凛(りん)ちゃん!おはよう!」
この会話もいつも通り。
「今日の授業知ってる?」
「え、なになに?」
「自習があるみたい!」
「本当!?」
「クラスの男子が言ってたよ!」
「男子かぁ…頼りにならなく無い?」
「ま、まあそうだね。でも、掛けてみるのも面白くない?」
「そうだね。ふふふ」
「でしょっ!うふふ」
いつも通りのくだり。いつも通り笑う。やっぱり不気味に感じる。亜沙飛はどう思ったんだろう。何の音沙汰も無く学校を去った亜沙飛は…。
「どうしたん?瑞葉?」
「ん、ああ。亜沙飛君さ急に転校したよねって」
「あー!あいつねぇ。なんか不思議君だったよね!必要最低限しか話しませーんみたいな感じでさ!そのせいか友達っていう友達もいなくて。そんな状況下に置かれてたから…とか?」
「亜沙飛君、そこまで弱い子じゃないと思うんだけど…」
「人は見かけによらず…だよ!」
「何の話してるの?」
「楓琳(かりん)ちゃん。おはよう!」
「えっと、亜沙飛の話」
「あー、急に転校した亜沙飛君ね。私、楓琳も不思議で仕方が無いわー」
「もっと不思議なのは瑞葉だけどねぇ」
「え?」
「瑞葉からあいつの事持ちかけてきたんだよ?」
「へぇー…気でもあったの?瑞葉?」
「えっ?ただ単に気になったからだよ。こんな卒業間近にさ……(私も言える立場じゃないけど……)」
「なるほどぉ……。こうとは考えられない?えっと、亜沙飛君って頭いいって言う噂が本当だとして…頭のいい高校に行くのに遠いから……」
「なるほど!楓琳ちゃんさっすがー!」
「えっへん!」
「……(理由…知ってるんだけどね……)」
「あ、学校着いちゃった……私は先にオサラバ!ばいばーい」
「楓琳ちゃん昼休みねー!」
「了解っすーー!」
「じゃあ、私もオサラバ!昼ね!」
「うん!バイバイっ!」
私は自分のクラス────3年A組に入った。
凛ちゃんも楓琳ちゃんも別のクラス。別れを言うに言えなかった。昼休みも時間はあるけれど、きっと言えないとわかっていた。
HR
「HRを始めます」
3年A組の担任 水島 一輪花(みずしま しずか)が話す。
「まず始めに、残念なお知らせが皆さんにあります。鬼城 瑞葉さんが転校なさいます。皆さんと共に卒業を出来ない生徒が増えて寂しいものです」
私は先生に前においでと言っているような眼差しに感じた。私は教卓の前に立つ。
「…」
「明日にはもう学校に来ないようなので今日1日を思い出にさせてあげましょう」
(そんなの…いらないよ。余計辛くなる。)
「そして…………(略)」
(亜沙飛君は……どういう気持ち…だったんだろう)
「それでは、HRを終わります」
終わった瞬間クラスの皆は背伸びをしたり色々し始めた。私のクラスは一番HRが短い為、チャイムが鳴るまで廊下に出る事が出来ない。
「ねぇねぇ…鬼城さん?」
「な…なに?」
急に話し掛けてきたのは、学級委員長の石黒 すみれだった。いつもの通りすみれの後ろには森坂 陽菜実(ひなみ)。
「どうして急に転校なんか…」
「家庭の事情よ」
「亜沙飛君も転校しちゃうし…きじょ…ううん、瑞葉ちゃんも!陽菜実…寂しいよ」
「陽菜実…すみれ…。……こう考えるとさ私達って全然話した事が無かったよね。何で話さなかったんだろうって今更だけど思うよ。いつも見ているはずのあなた達に」
「私もそう思うわ……」
「陽菜実…も」
陽菜実は今にも泣きそうなくらい目に涙を溜めていた。
すると、私の元に幼馴染みの如月 睦月が来た。
「お前…何でまた……黙ってた?」
「そ…それは」
今言えば、睦月の事は正直苦手。喧嘩っ早いし自分中心になりがちで。
「幼馴染みの俺にだけでも教えてくれたって良いじゃんかよ。もう…2度と会えないのか…?」
「多分…」
「……」
「急に決まった事だから…変えることは……出来ないの」
「…亜沙飛だってどっか行っちまったし……」
「……」
「……とにかく!頑張れ!瑞葉!」
「…!」
(怒りだすかと思ったけれど…睦月……ありがとう)
視線を睦月に合わせると、笑みをこぼす睦月がいた。
「じゃあな!」
と、手を振り睦月は友達の元へと戻る。
そして、チャイムがなった。
(今日はいつもより早く感じたな。お別れもあんまり言えなかったし)
学校が終わり、両親が荷物を車に積んでいる間部屋にこもっていた。
「夕日…綺麗だな」
「そうだねぇ。そうそう、学校はどうだった?」
「…いつもより早く感じたよ。それに、」
「それに?」
「やっぱりなんでもない」
「そうか…」
「瑞葉〜。準備できたから降りて来なさい」
「はーい。…さようなら。大好きだったこの街よ」
そして、私は白虎を連れて下に降りた。そして家の外に出るとトラックがあり父と話す男性がいた。そして私の存在に気付いた母は、
「この娘が瑞葉です」
「こんにちは。瑞葉様」
「こ、こんにちは」
「私の名前をお教えしておりませんでしたね。私は、神道 晶永(しんどう あきなが)。亜沙飛の叔父です」
「は、はあ」
「これから、亜沙飛の事をよろしくお願い致します」
「はい…。あ、あのぉ…」
「何でしょうか?」
「亜沙飛はもう村に…?」
「はい。亜沙飛は瑞葉様をお待ちしております」
「…そうですか」
「お荷物の方は私目がしっかり村までお持ち致しますので御安心を。そして、村までの案内もさせていただきます」
「…よろしくお願いします」
「では、慶太さん運転の方を。私目はトラックの運転を致しますので」
「わかりました。瑞葉乗りなさい」
「うん…。ユキ…行こうか」
「ニャァ」
そして、私達は村に向かって行った。
夜中に村に着いた。でも私は、寝ていた為気付かなかった。目が覚めた時には朝になっていた。
「うぅ?」
「…起きたか?」
「…ひゃっ!?あああ…ああ亜沙飛!?」
私は驚きを隠せず飛び起きた。
「…そこまで驚かなくたって」
「ってことはここは…」
「ああ。村だ」
私の左側には窓があり、そこから村の風景を見る。
「綺麗だね」
「そうだなぁ。あんな所よりもずっと良い」
「え?」
「俺はあんな所嫌いだね」
「そ…そう」
「それより目、覚めたんだしあそこにある服に着替えなよ。俺は後ろ向いてるから…」
「う…うん」
私は言われるがままに服の元に行く。
「瑞葉様!起きられましたかっ!」
「え…あ、はい」
「お母様達はお仕度なさっているので、私目か亜沙飛様にお申し付けを…。あ…亜沙飛様!」
「鬱陶しいな…何」
「お着替え手伝って上げなされ」
「面倒だな…。ん…確かに1人じゃ着れんわ。袴くらい手伝うから他さっさと着ろ…」
「う、うん」
その後私は巫女着を着た。
「瑞葉…」
「何?」
「………この地を良いものに変えて行こう…な」
亜沙飛の横顔を見ると少し照れくさそうに言った。
「そうだね…?」
「今…この土地は泣いている。実里誇によって閉ざされたこの村…土地が。俺達で呪いを解いて悲劇を終わらそう。…プロポーズにはいい話だろ…」
「プロポーズ…?……ふぇっ!?えっ?…え!!?」
「驚き過ぎ……マジ見てられねーわ…昔から鬼城と神道についてはクソジジイに叩き込まれているし…。クラスメイトの女子は全く興味無かった。だが。俺はこの運命を背負っていなくたって…お前の事は好きだったと思う……」
「………そんな事言われたの…始めてだよ…」
「…んあ?何この猫…」
亜沙飛の足元には白猫がいた。
「猫?…あ…白虎(ハク)…」
「話遮ったか?それともプロポーズ上手くいったか…ぷぷっ」
「このクソ猫が…」
「小僧、書物室に連れていってくれ」
「あ?何で俺が…」
「言葉も治さんとなぁ…。まあ、ミーは瑞葉の言う通り白虎だ。昔に呪術のせいでこの姿になった。その副作用で、不老不死よ。哀れだと思わんか小僧?」
「副作用とは…笑わせるね。んで、何で書物室よ…俺は連れて行かねーからな」
「理由を聞いたクセに何ぉ…!」
「ま…まあまあ」
「…まてよ……明日か!!」
「な…何!亜沙飛…」
「瑞葉…明日が俺達の大事な日だ…」
「ふぇ…?」
「お前…忘れたのか?…明日、お前の…」
「瑞葉様、亜沙飛様…」
「晶永さん?」
「こちらにお越しください…」
「…タイミングの悪い奴め」
「何か言った?」
「べつに」
「じゃあ行こう?」
私は亜沙飛に手を差し伸べ、亜沙飛は私の手を掴む。
「(なんか…照れるなぁ…。だって亜沙飛…恋人繋ぎなんだもん……やばい…やばいよ。心臓が……)」
「瑞葉どうかした?」
「え!?い、いや!何も!!」
「めっちゃ焦ってんだけど…。まあ、別にいいけど」
「ふぅ…」
「もう仲が良いのね」