ヴァイオリニストになる夢を諦め、親の決めた名門女子学校に転校して、なんとな～く過ごす毎日。
そんな時になぜか学校で禁止されている舞台劇 「桜の園」の台本を見つけた。「この劇を上演したい！」
トモダチに声をかけ、一つ一つが出来上がっていく内に、初めて学校生活が楽しくなった。
でも、劇をやることが学校にバレて、ついに停学・・・。怒られて、一度は諦めた。
また、ヴァイオリンと同じで諦める？ううん、やっぱりやりたい！「もう逃げるの、やめた！」

夕暮れの校庭でハイジャンプをするあの人をずっと見つめていた。だからあの日、「一緒に劇をやってみない?」と言われて、彼女の指が私の肩に触れた一瞬、あっ、となって息が出来なくなったの。

私の夢は女優になること。でもそんなことを言ったら、きっとみんな笑うんだろうな。
私、背が高くて男の子みたいだから。転校生の結城さんから、一緒に劇をやろうと誘われた。やるんなら、絶対にラネーフスカヤ！
男役を期待してるみんなを裏切るかもしれないけど、そんなのかまわない。

彼はこのごろ会う度に私を求めてくる。手をつないで公園をデートしたり、帰り際にそっとキスをしてくれるだけで私は幸せなんだけど。
でも拒んだら、口をきいてもらえなくなっちゃいそう・・・。
放課後の劇の練習もぼーっとしてて、急に涙が溢れてきた。
今月、まだこない・・・。こんなこと、奈々美にも相談できないよ。

美登里は大事なトモダチ。小学生の時からず～っと何をやるのも一緒。
だけど最近、一緒にゲーセンやスイーツめぐりしててもなんだか上の空。
高校の思い出にみんなで一緒に劇をやろうと、盛り上がって騒いでいたのが嘘みたい。
なにか悩んでいるのなら私に教えて！

小笠原先輩は私の憧れ。部活を終えた先輩を待っていたら、舞台劇を手伝ってほしい、って突然言われて、ビックリしちゃった。先輩はもうすぐ卒業だから、少しでも近くにいたい。