作品アイデアのヒントになるかも!

編集部がスターツ出版文庫について語る!特別座談会

人気作続々!!絶好調のレーベル・スターツ出版文庫。今回は編集長をはじめとする5人の編集部員が「今、スターツ出版文庫が求めるものとは?」をテーマに座談会を行いました。これを読めば、スターツ出版文庫のことが今まで以上によくわかるはず!

編集長 S(以下、S):スターツ出版文庫(以下、スタ文)のブランドコンセプトは「この一冊が、私を変える」。これは、創刊以来、一貫して掲げてきた言葉です。読んだ人に、時にちょっとした気づきを与えたり、時に人生を大きく変えるほどのメッセージを渡すことができる本。読んだ人の心が成長できる本を創り続けていきたいと思っています。
そこで、今回のコンテストのテーマは「成長感×非日常×恋愛」ということですが、“どんな作品がほしいか”をほんのちょっと具体的にお話ししましょう。
例えば、昨年暮れに刊行し、現在8刷18万部突破の沖田円・著『僕は何度でも、きみに初めての恋をする。』(以下、『ぼくなん』)はまさに「成長感×非日常×恋愛」を体現した作品。両親の不仲に悩む少女・セイと、1日しか記憶がもたない少年・ハナとのラブストーリーで、登場人物それぞれが抱える痛みや苦しみを乗り越えるために出会い、恋をしていく。それを通して成長する過程が素晴らしい作品です。

副編集長 N(以下、N):『ぼくなん』は、ハナみたいな少年に会うこと自体が非日常。ハナのような運命を背負った人は実際にいると思うけど、多くの読者にとってはハナと恋をすることは非現実的ですよね。実際には、そうそう起こることじゃない。
編集部 A(以下、A):ケータイ小説文庫を含めると累計11万部突破の櫻いいよ・著『君が落とした青空』(以下、『きみおと』)は、時間がループするお話。同じ日が繰り返す中、恋人の事故死をどうにか回避させようとする主人公が、日ごとに様々な気づきを経て成長していく。
編集部 I(以下、I) :ともするとお説教くさくなりがちなメッセージも、時間のループという非日常的、非現実的な仕掛けのおかげですんなり腑に落ちてくるんです。
編集部 M(以下、M):そうそう。物語に引き込まれるきっかけにもなるわけですよね。
I:スタ文既刊作品をぐるりと見回してみると、主人公が何かしら悩みをもっている…という設定が多い。これって大きな意味がありますよね。
N:もやもやした悩みを抱えて過ごす、何の変哲もない日常に、ちょっとした変化が起こる…というところが、スタ文的非日常。その変化というのは、主人公が突然、異世界に行っちゃってそこで生きていくとか、いきなり魔法を使えちゃうとか、ラノベっぽいファンタジックな設定ではなく…。

M:ケータイ小説文庫含め、うちの既刊はほぼ女の子が主人公ですけど、男の子主人公っていうのもありですよね。
A:主人公が男であれ女であれ、今の自分が嫌だ…とか、居場所がない…とか、日常誰もが抱えている悩みが変化していく過程を、主人公と一緒に読者も追体験ができることが大切なんじゃないかな。
N:『ぼくなん』も『きみおと』も、物語のベースに漂う恋愛色は強めですよね。理想の恋愛像みたいなものが託されていて、みんな心のどこかでそんな恋愛に憧れているんだと…。
I:リアルの恋愛は、考えすぎて踏み出せない…っていう人、今、多いんじゃないかなぁって思います。だけど、物語には踏み出すことで変われるかも…っていう期待感があるんでしょうね。
S:まさに、憧れだよね。無償の愛を誰かにあげたいし、誰かから貰いたい。手放しで心からお互いを愛せるって本当に素敵だし。そう考えると、『ぼくなん』のハナは理想の男子像かもね。
M:同感!
N:読者感想でも、ハナに対するあこがれのレビューは多いしね。
A:ハナのいいところってなんですかね?
I:すべてを受け入れる姿勢じゃないかな。自分の悲しい運命も受け入れて、前向きに生きている姿、セイを手放しで愛する姿。

S:さて、そんなスタ文に見る恋愛や、非日常のこと等を話してきましたが、つまり、悩みを抱えた主人公はまさに私たちの日常であり、それを紐解き成長していく仕掛けとして、ほんのちょっとの非日常や非現実的出来事が加わる…という構図がほしい。
M:仕掛けはいろいろ考えられますよね。作家さんごとの個性も出やすいところだし、楽しみなところです。
I:そして、物語の終わり方も重要!ラストは絶望で終わりたくないよね。
M:わかります。救いがある、希望があるものを望みたい。物語の中くらい、前向きに終わりたいです…。
S:ネタバレになっちゃうから詳細は話せないけど(笑)、『ぼくなん』のラストだって、事実だけをたどったら悲しすぎるバッドな結末と捉えられたりもするけど、主人公ふたりが手にした本当の愛があるから、それが読み手である私達にも伝わってハッピーに捉えられる作品なんだよね…。物語がメッセージする本質は何か、それが明確になった上で、読後感の良さがあれば、バッドには決して感じない。
N:まぁ、ラストの救いは大事ですね。主人公の足りない部分が埋まる、マイナスの背景を打ち消すような書かれ方は大切ですからね。
A:あとやっぱり一番大事なのは、作家さんがちゃんとしたメッセージを持って書いていること。そこがブレていると、ラストの感動がブレてしまいます。
S:これから書き始める方は、自身の作品のメッセージをきちんと考えてほしいですね。大切なもの、真実が詰まった素敵な作品がたくさんエントリーされることを楽しみにしています。作家さんの個性に期待です!!