【TRAIN-TRAIN／恭二/著】
大阪生まれの恭二は親の離婚や借金により寂しい幼少期を送り、ケンカに明け暮れ、やがて暴走族の総長になる。妻との間に子供をもうけるも、結婚後の不仲が原因で離婚。自暴自棄になった彼を親友の翔が救ってくれたが、そんな大切な友人は交通事故でこの世を去ってしまう。翔の分も生きることを誓う恭二のまっすぐな気持ちが詰まったリアルストーリー。
ストーリーの最後までぶれない、素直な表現力が胸を打ちます。やんちゃをした若い頃や、翔を亡くした後の虚無感などがリアルに描かれ、子ども達と涙ながらに別れるシーンや、ラストはかなり泣けました。翔と恭二がどこか、かっこよく思える作品！
不器用で下手くそな生き方やけど関西の悪ガキ二人が強く熱く真っ直ぐに生きた絆の物語りです。
ウリをしているユキは、男の人の家を泊まり歩く日々。今日の宿を探そうと携帯をスクロールして見つけたのが、3ヶ月前にクラブでナンパされた隆志だった。当然のようにエッチして泊めてもらう気だったユキだが、隆志は何もせず、それどころか、ユキの誕生日を祝ってくれた。どうやら隆志はユキを知っているようで…。
主人公はなぜか、すごく淡々としています。けれど、逆にそれがぐっと訴えかける寂しさを感じさせるのです。それを温かく見守る隆志の存在が気になる！未完結ですが、先が気になってしまい、次々にページをめくってしまったり…。読めそうで読めない結末に期待！
何度もリセットボタンを押そうとしましたが、やっとここまで書き進めました。ぜひ読んでみてください!
【*Border Line* ～本当に大切なもの～／An apple/著】
明日香は大学入学と同時に、かつて辞めてしまった吹奏楽をもう一度やることを決意し、サークルに入部する。新しい環境で、知り合う先輩や友達、彼氏との人間関係に迷い、次第に複雑な心の悩みを抱えていく。漠然とした不安や寂しさから考えてしまう「生きることの意味」。リスカ、オーバードーズ、自殺未遂などを繰り返しながら、生きる道筋を探していく…。
たとえ特別な事情がなかったとしても、泣きたい夜があったり、寂しい日がある。私は必要な人間なのか。何のために生きていくのか。そんなことを考えて、考えても答えは出なくて…。正直に綴られた日常がリアル！不器用ながらも、1日1日を生きていく。そんな主人公に、胸を打たれます。
『死にたい』と思うことは、本当は『生きたい』のではないか。私は書いていて、そう思います。たくさんの人と接し、自分を傷つけ、他人を傷つけ、そうやって生きてきた私が見つけたのは、一体何なんだろう。未だに、答えは見つかりません。
【過去、消したいですか？／ゆだき/著】
父親がヤクザのまゆ。長い刑務所暮らしとなった父親から逃げるように母親の田舎に引っ越すが、そこでも平穏な生活は待っていなかった。母親はまゆを置き去りにして他の男と逃げてしまったのだ。そして非行に走り始めたまゆは、高校を中退、シンナーを始め、男との付き合いも適当だった。身の置き所のない生活を続けるまゆの運命は!?
著者がどのように生きてきて、何を学んだのか、読者に何を言いたいのかが鋭くひびく小説。主人公の心の弱さにも原因があったと思いますが、困難な状況を乗り越えて、はじめて分かる幸せというのが伝わってきます。
遼太は親も厳しくマジメな普通の男の子。しかし男子中に入学し、保健の望月先生と恋に落ち、付き合うことに。先生との禁断の恋にとまどいながらも自分の気持ちはとめられない。先輩からの告白、クラスメイトのいじめ、先生との別れ…。純粋な遼太にふりかかる運命は皮肉で…。辛い恋を経験して遼太は大人になっていく。
禁断の恋に足を踏み入れてしまった遼太。彼の純粋な心の葛藤がとてもよく描かれていて、叶わぬ恋の苦悩が伝わってきます。それでも最後まで一途に先生を想い続ける、まっすぐな遼太の姿に胸を打たれるハズ！