ケータイ小説 野いちご

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野いちご学園の新着投稿

    • 同級生
    • 放課後

    「キスしたい」
    「……却下」
    なぜだ、とマジな顔で首を傾げる彼の鈍さは天下一だ。私はハアと顔を覆って溜息をこぼした。
    「見てここ駅。夕方の、1番、人が多い時間でしょ。一応聞くけどどこでしようとしてるの」
    「ここだよ」
    「却下!」
    「なぜだ?恋人ならキスするもんだろ。離れ難い思うものだろ?」
    「それは時と場所が大前提の話!」
    堅物の頭に言っても納得してもらえない。どうしたものか、と考えを巡らせていると、彼は「なら質問変える」と口を開いた。
    「俺とキスするの嫌か?」
    「なっ…!」
    ずいと顔を寄せられる。近すぎて焦点を合わせようと、なぜか視線は彼の目から逃れられない。
    「嫌ならしない。今後もそういうことは控えるようにする」
    「何言って…」
    彼の目が悪戯に光る。
    「嫌か?」
    「…いや、じゃ、ない…」
    額に柔らかくキスが落とされて、「そっちか…」と思わずの呟きを聞き逃さなかった彼に結局唇を塞がれた。

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    • 幼なじみ
    • 放課後
    • 最寄駅で
    • 頭ぽんぽん

    「鏡夜、今日通院の日だから駅で大丈夫」
    ホームのベンチで座る幼なじみの愛海が言った。

    愛海の病気は、中学の頃、高熱で発症した後に出来た、脳の腫瘍がだんだんと記憶や神経を蝕む病気らしい。
    ここ最近、明らかに愛海の記憶力が落ちていた事に気付いていた。

    愛海はいつか俺たちの事も忘れてしまう。
    そう考えると怖くて震えが止まらない。

    けれど愛海はもっと怖いはずで…
    泣き虫なのに無理して強がるから、いつの間にか愛海は人に弱みを見せなくなった。

    「大丈夫だよね。きっとあたしはまだ大丈夫」
    自分に言い聞かせるように愛海が言った。
    小さな手をギュッと握りしめて。

    アナウンスが流れて、愛海が立ち上がった。
    あまりにも泣きそうな顔をするから
    「大丈夫」
    そう言って髪をクシャっと撫でた。

    本当は、その小さな体を強く抱き締めてやりたいのに。
    小さく笑った愛海に、無力を突き付けられた俺は泣きそうになった。

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    • 先生
    • 放課後
    • 廊下

    先生、と駆け寄るとどうした?と優しく問いかけてくれる。大した質問も相談もないくせに、私は何かと先生に聞きに行く。2人きりで話す理由が欲しくて。
    「こんな時間まで居残りか?」
    「や、その、先生のこと待ってました。先生、人気者だから。普段なかなか聞きにいけなくて」
    「そんなことないよ。いつでも話聞くのに」
    でもそっか、と先生は照れくさそうに笑って頬をかいた。
    「悪いことしちゃったね。本当ならもう家に帰れてたはずなのに」
    「い、いいんです。…おかげで、先生のことひとりじめできたし」
    少し、踏み込みすぎただろうか。
    ちらりと視線だけ向けると、先生は驚いたように目を丸くして頬を赤く染めていた。きちんと理解した上で受け取ってくれたのだと確認できて、私は唇を噛む。
    「じゃあ、僕も君のことひとりじめしてるね」
    先生の手が私の手に触れる。
    きゅっと掴まれた先生の手は、私と同じくらい熱かった。

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