絢音のやつ、午後の授業からずっとボーっとしてた。




なんかあったのか…?




「絢音っ」




下校時刻になり、教室を出ようとした絢音を呼び止めた。




「蒼…あっ、これから部活?」




「あぁ…気をつけて帰れよ?」




「はいはい…。蒼も部活がんばってねっ!」




絢音の笑顔を見て、少しホッとした。




「夕飯食べないで待ってるね」




「おう」




絢音は手を振って帰って行った。




絢音の姿が見えなくなって、俺は鼻歌を歌いながら廊下を軽やかに歩く。




「単純だな…蒼」




「げっ…!ケン…」




後ろを振り向くとケンがニヤニヤして笑っていた。




恥ずい……




「ラブパワ〜♪ふふふんっ♪」




「変な歌をうたうな!」




俺の前をスキップしているケンに、俺は思いっきり飛び蹴りをかました。




「イッてぇ〜!!」




ケンの叫び声に周りにいた生徒が一斉に振り向いた。




「…あほザルめっ」