英知の塔は外側に渦を巻くように外壁に沿って道があり、それが上へ上へと伸びていた。

窓は壁に穴を開けたような簡単なもので、ガラスも無ければ窓枠も無い。
そこから風も砂埃も入ってきている。

既に陽は上っており、薄暗い塔内に明るい日差しが差し込んでいた。


段々と上へ行くと道はなくなり、今度は塔内へと入る。
そこには内壁に沿って螺旋階段が出来ていた。

二人はひたすらそこを昇り続けた。


もう頂上かという所で、木製のドアにぶち当たった。


「ここが頂上?」


「最上階にある部屋です。」


簡素な木のドアを開けると、そこには高い天井をもった部屋があった。
天窓から燦々と差し込む光。

床には美しい陣が描かれていた。
太陽と月、そこに天使や鳥が歌うように舞い降り、その真ん中に地図のようなものと文字が書かれている。

そして目の前には、部屋一杯に広がる美しい女性の絵―――。


「綺麗・・・。」


長い髪の女性は片手を天に伸ばし、もう片方の手のひらを地に向けていた。
天に伸びた手には光が握られている。

そして胸元に輝く宝石。

それは一際美しい光を放っており、七色に輝いていた。

女性の顔立ちは穏やかで美しかった。
アリスはその姿に見惚れた。


すると頭の中に、あの声が響いてきたのだった。