初めての男であるカツヤとは、その後一時期付き合いが遠のいていた。

 紀子の生活がガラリと一変した事がその理由ではあるが、エル・ドラドで勤めだしてから半年程して、再び二人は付き合うようになる。

 カツヤが高校を中退し、働くようになり、狭いながらも一間のアパートを借りた為、そこへ紀子が通うようになったのだ。

 紀子自身はカツヤと一緒になってもいいと思っていた。

 結婚を、である。

 当然、カツヤにもその想いは伝わってはいたが、この年代の男と女では、精神的に大きな年の開きがあった。

 ただ、カツヤばかりを責められない部分はある。

 何と言っても、紀子はミナミの高級クラブの№1ホステスとして、毎夜、一流企業の社長クラスを相手に働き、その収入で家族を支えていたのだから。

 物事に対する価値観が段々ずれてくる。

 それを若い二人は互いの立場を思うという事に気持ちを持って行ける程、成熟していない。

 紀子にしても同じであった。

 いくら店では客あしらいが上手で、精神的にも見た目的にも実際の年齢よりか上に見られるとはいえ、現実にはまだ十七にも満たないのである。

 カツヤの不満は、紀子がホステスをやっている事に尽きた。


 男として、紀子を自分が面倒見るんだ……


 そういう気持ちが強かったが、かと言って、紀子の為にも馬車馬のように働いていたかというと、実際は違った。

 相変わらず週末になれば暴走族の集まりに出掛け、働いて手にした給料の殆どを仲間内との遊びに使ってしまった。

 紀子と半同棲のような生活を送るようになってからは、ちょくちょく紀子に金の無心をした。

 そのうち、アパートの家賃まで紀子が払うようになり、車のローンまで支払わせられるようになると、流石に紀子の我慢も限界になった。