「ムッ、大変でごわす! リョーコどん、起きるでごわす!」

「どうしたの、ヒロシ?」


周りを見ると、サングラスのオトコたちに取り囲まれていた。


「リョーコどん、おいどんが食い止めるでごわす。その隙に逃げるでごわす」

「でも! ヒロシはどうするの!?」

「だいじょうぶ、おいどん、格闘家でごわす。きっとなんとかなるでごわす」

「愛してるわ、ヒロシ!」

「どすこい」


あたしは走った。

背後から、ヒロシの戦う音が聞こえたが、振り返らなかった。

あたしは一目散に家に逃げ帰った。


「お父さん、お母さん! ヒロシが大変なの、助けて!」


だが、お父さんもお母さんもいなかった。


「どうしたの? どこに行ったの? こんなときに……」