一番栄えてる駅でみんなで途中下車する。

『なんでお前までついてくんだよ』
『まあまあ友達じゃないっすかぁ』
『あ、このお店、ずっと行ってみたかったんです!』
『じゃあここにしましょう!』

ヤル気満々に仕切る大輔に呆れながら店に入る。
落ち着いた雰囲気のカフェだ。
席に案内され店員さんが水を運んでくる。

『あれ?かーくん?』

カチャ

店員さんは少し動揺した様子だった。

『ねえ、かーくんだよね?』

橋本さんがグイグイに店員さんに詰め寄る。

『私、橋本詩織!小学校一緒だった!』
『しーちゃん?』
『やっぱり!久しぶり!ここでバイトしてたんだね』『あ、ああ』

橋本さんが嬉しそうにかーくんに話しかけている。

『くそ、なんなんだよこいつ』

大輔は悔しそうに眺めている。
オレも橋本さんの勢いに圧倒されながらただただ
眺める。

『って、あれ?かーくん、西野じゃん』
『え?』
『ほら、B組の西野だろ?』
『なに!?』

二人でかーくんの顔をまじまじと見る。
見覚えのあるサラサラの黒髪に眼鏡がキラリと光る。
そう、伊藤さんの時に助けてくれたのが彼だった。

『あれ、お前らA組の…』
『そうそう!』
『伊藤…』
『にしの!!!なー!もうヤダ!こんなとこでなにしてんだよぉ!』
『バイトだけど。見りゃわかんだろ』

大声で被せるオレに冷静に答える西野。

『つか、静かにしろよ。ほんでさっさと帰れよ』
『おーい!仮にも客だぞ!』
『お前もうるさい』
『んだとゴラァ!!』

大輔は完全に西野が気に入らないようで突っかかる。
まあ、好きな子と仲良くしているのが気に入らないのは分かるがとにかく落ち着いてほしい。

『かーくんってば変わっちゃったね』
『かーくんっていうのやめろよ』
『えー』
『橋本さんもこいつら連れて早く帰ってよ』
『そんな……』

その後の彼女は元気がなく早々にみんなでお店を後にした。
駅に着いた時に忘れ物に気がつきオレは二人と別れてカフェに戻る。

大輔は嬉しそうだったが橋本さんの表情は暗いままだった。