あの日から数日が経っていた。
これといってなんら代わり映えのしないいつも通りの日常が続いている。

ちぇ、奮発したのになーんもお起こんねーの。
大量の5円を消費したので少なからず期待してソワソワと過ごしていたのだ。

『なーなー!B組の伊藤さん知ってる?』
『あー、あの大人しそうな?』
『そーそー!なんか伊藤さんが結人のこと好きかもしれないんだって!』
『うええええええ!まままままじで!?』
『まじだ、まじだ!やったなー!』

いつもつるんでる六条大輔が突然の吉報を運んできた。
なんだよ、効果ありまくりじゃんか!
さっきはすんません!

『どうすんだよ、結人!』
『えー、うーん、でへへ』

正直伊藤さんと喋ったことないし、全然興味無かったけど向こうが好きだっていうならやぶさかではない。

『なんだよ、乗り気じゃんか!』
『べ、別にそんなんじゃねーって!』
『そんなことありまくりな顔じゃねーか!』
『う、うるせーな!』
『いいか、結人。女ってのはな告白されんのを待ってる生き物なんだよ』
『ほ、ほう』
『ここは結人の方からバシッと付き合って下さいって言ってやんのがスジってもんよ』
『なんでだよ!』
『おいおい!伊藤さんみたいなタイプが気軽に付き合ってぇなんて言えるわけねーだろ!』
『た、たしかに』
『初カノのチャンスだぞ!いいのか!?これを逃したらお前一生彼女できねーぞ!』
『んなわけねーだろ!ざけんな!』

突然の低評価に大輔に怒りの鉄槌を喰らわせつつも、アドバイスは全力で参考にしていた。
オレから告白かぁ。
いや、今のオレには神がついてる!