先週から楓は元気がない。

私が理由を聞いても
「なにもないよ」と言って教えてくれなかった。原因はきっと創太だ。

私は翼に連絡して、創太に会えるようにお願いした。

お互いの高校から近い公園に待ち合わせをして、私より三十分ほど遅れて翼と創太が来た。

着くなり創太は「なにか用?」と少し怒ったように聞いてきた。私は彼の態度に腹が立った。

「私前に楓悲しませたら許さないって言ったよね」

「先に裏切ったのは楓の方だ。だから楓の前で違う女の子と話して仕返ししてやろうと思った」
創太が全部言い終わると私は創太を叩こう思い手を上げた。

「ゴッ」鈍い音がした。

私が叩くより早く翼が創太を殴った。

「おい創太、おまえいつからそんなクズになった?」
私はまさか翼が怒るなんて思っていなかったので驚いていると、
「おまえに何がわかるんだよ。本気で好きになった人に裏切られる気持ちがおまえにわかるかよ。」
下を向きながら創太言った。

私は創太が何を言っているのかわからなかった。

楓も本気で創太を好きでいたので裏切るようなことをするなんて考えられない。

「何を見て楓が創太のことを裏切ったと思ったの?」
翼が怒った驚きで私の怒りは消えてしまっていた。

「先週、楓がスーツをきた男の人と楽しそうに喋りながら帰る姿を見たんだ。あんな風に笑ってる楓は初めてみた」

私はようやく創太が何を勘違いしているのか気づいた。

「その男の人、背が高くて短髪のイケメンじゃなかった?」

「そうだけど」創太はなんで知ってるか不思議そうだ。

「バカ!それ楓のお父さんだよ。先週三者面談があったから一緒に帰ってたんだよ」

「そんなわけないだろ。二十代前半ぐらいの若さだったぞ」

「言いたいことはわかるけどその人は楓のお父さんなの。私も最初見たときは目を疑ったけどあの人もう四十手前だよ」

それを聞いた瞬間創太の顔から血の気が引いたのがわかった。

「どうしよう、俺なにも悪くない楓を傷つけてしまった」
創太は今にも泣きそうな顔をしている。

すると翼が、
「どうしようじゃないだろ。悪いことしたと思ったならちゃんと謝ってこいよ。それが許されなかったとしてもな」
と言った。

「でも俺どんな顔して楓に会えばいいのかわからないよ」

「考えたって仕方ないだろ。走れ!」
そう言った瞬間翼が創太の背中を叩いた。

創太は走って駅に向かった。

創太が行ったあと翼が私に
「悪かったな勝ってに話進めて」
と謝ってきた。

「別にいいよ、翼が殴ってくれて私もスッキリしたし。それよりも私は翼が怒ったことが以外だったな」

「幼馴染だからな。創太が間違ったことをした時、怒るのは俺の役目だ」
私は不意にドキッとして下を向いた。

かっこよすぎる翼を見ることができなかった。