なんというか、つくづくタイミングが悪いやつだなあと思う。



「……なにやってんの、蓮見」

「あ、辻くん……」



そしてほぼ毎回その場面に居合わせてしまっている自分も、また然り。

……なんでわざわざ、自分のすきな奴が他の男を見つめている様子を目の当たりにしなければならないんだ。

思わず、ため息が漏れてしまう。



「蓮見ってさ、なに、もしかして狙ってやってんの? それともなんかに憑かれてるのか?」

「そ、そんなわけないでしょ……!」

「いやだって、なんでこう毎回金子が彼女といる場面にばっか遭遇するわけ?」



う、だなんてあからさまに言葉に詰まりながら、蓮見は押し黙る。

ヘコんでるなあ。でもな、正直こっちだってヘコみたい気分。

再度ため息をついた俺は、自分よりもずいぶん低い位置にある彼女の顔から視線をずらして斜め前方へと目を向けた。

そこにはまあ、なんというか、蓮見のすきな男……バスケ部エースの金子が最近付き合い始めた彼女と、仲良く談笑している姿があったりするんだけど。

あーくそ、放課後に廊下でカップルがイチャつくのを禁止する校則でもできねぇかな。