「おはよー、可奈子」

「………」

「え、可奈子?可奈子ってば!」

「…え?あ、あぁ…おはよう、美沙」



美沙に呼ばれてハッとする。


いけない、ぼーっとしすぎだ。




慌てて美沙に返事をすれば、勘のいい彼女は顔をしかめた。



「…何かあった?」

「あー…うん、ちょっとね」




…あの後。

私が叫んでしまった後、チカは何も言わずに部屋を出て行った。


苦しそうな表情を、一瞬だけ見せて。





"チカには関係ない"


その言葉は間違ってない。間違ってない…はずなのに。




「ごめん美沙。私も今頭ごちゃごちゃなんだ。整理ついたら話すから」

「うん、分かったよ」




何故か、あの表情が頭に焼き付いて離れない。