確か北側の非常階段。

学生が泊まってるところから遠いのは他の人にバレないための配慮なんだろうけど、行くまでに誰かと会いそうで怖いな。



一応就寝は10時半になってるけど、高校生がそんなの守るわけがない。


まさに私も破ってるわけだし。




「……お前、何してんの?」


「わっんん!!」


「しー!バレるだろ」



急に後ろから声をかけられて、心臓が飛び出るかと思った。


驚きの声が漏れる前に、口を大きな手によって塞がれる。



びっくりしすぎて少し暴れたけど、だんだんと落ち着いてくる。

そこでやっと離してもらえた。




「いっつも急に現れるのやめてよ」


「お前も俺の前に急に出てくんなよ」



私の言葉に言い返してくる目の前のやつは由良しかありえない。




ほんとこいつは神出鬼没だな。