十月の半ば、肌寒くなってきた時期に二階堂蛍に屋上に呼び出された
屋上は普段は立ち入り禁止になっているハズ、と疑問に思ったがすぐに答えが出る
──理事長の娘にルールは通用しない
溜め息をつきそうになったが堪え、屋上に続くドアを開けた
鍵がかかっていないとなれば彼女は既にいる
「遅かったね、本田さんが中々来ないから他の子を使って呼び出そうと考えてた所なのよ」
二階堂蛍の他にも彼女の取り巻きである派手系な男女が五人ついていた
「……何か用?」
「お前! 蛍ちゃんに対する言葉遣いを考えろよ!!」
「そうよ、地味子のクセに!!」
わたしは二階堂蛍に聞いたハズだ
なのに何故周りが答える?
たかが同級生相手に言葉を改めるとか意味がわからない
「大丈夫だよ。 あたし気にしてないもん」
「……」
周りが可愛いという笑顔はわたしから見ては胡散臭かった
それは半年経った今でも変わらない
「お願いがあるんだけど、本田さんソコに立って?」
「……?」
言われた先は屋上の端だ
言われた通りにフェンスがないその場所にわたしは立った
「じゃあ、飛び降りて?」
──飛び降りて?
彼女の言葉に一瞬だけ思考が止まった