あの夏祭りの夜から、あたしと高嶺の間には溝ができてしまった。


なんとなく、高嶺に避けられている。


それにあたしも、自分の気持ちを意識してからというもの、緊張して話しかけられなくなってしまった。


すぐに夏休みに入ってしまったのも原因。


勉強もせずに乃亜と過ごす毎日なんて、なにより幸せなはずなのに、やっぱり高嶺の存在がずっと胸の奥でつっかえていて、夏休みを満喫できなかった。


でもその夏休みが終わって新学期が始まっても、あたしと高嶺の距離は変わらなかった。


近づいたと思えた距離は、プリンスと一般生徒とのそれに逆戻り。


目が合うことも、話しかけられることもない。

斜め前に座る高嶺の背中は遠いまま。