授業が始まってからも、プリンス──高嶺の人気は絶大だった。


あたしの左斜め前の窓際に座る高嶺へ、女子たちは絶え間なくちらちらと視線を投げかけていて。


休み時間になると、高嶺の机の周りにはたちまち女子の人だかりができる始末。


それに女子だけでなく、男子もよく高嶺に話しかけているのを見ると、人望は厚いようで。

あれだけ人当たりが良いのなら、一方的に恨まれたり僻まれることもないのだろう。


座る位置は近いのに、やっぱり遠い存在の人だ。


たとえクラスが同じだとしても、高嶺なんかとはまったく関わりなく2年生を終えるんだろう。