「黒板消し、掃除しよ―――っと♪」


お弁当を食べ終わるなり席を立ち、黒板消しを手に取った。


「ちぃちゃん。日直でもないのに、黒板消し好きやなぁ」


「うん。楽しいねん。パンパンするの。ストレス発散してるねん」


いつもこんな適当な言い訳を用意していた。


いつものように、窓から身を乗り出して、あの場所に視線を向ける。

あくまでも自然に………わざとらしくないように……。


あ……

あれ……?

いない……?


正確に言えば、男の子達は例の場所に集まっている。

だけど、その中に“コロちゃん“はいない。



んんんんん?


い……ないよね……。

目を細めて、いつも彼がいるベンチの方をじっと見つめていた……その時。





「あ………ああああああ!」


手を滑らせて、また黒板消しを下に落としてしまったのだ。


「あ~あ。またやってんで」


背後から、アカネちゃん達の笑う声が聞こえた。