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「え!夏休み中、何もなかったの?」

「……えっと、うん。」


短い夏休みはあっという間に終わって、ついに新学期を迎えました。


茉央ちゃんといつものようにパンをかじりながら昼休みを過ごしている私。


あの夏祭りの日、家に帰ってから茉央ちゃんに電話をかけた。


合流しなかった事の謝罪と、南くんにされたキスの事を1人では抱えきれなくて…


一通り話を聞いてくれた茉央ちゃんは、『夏休み中に、南くんからお誘いとかあるかもよ?』ってアドバイスをくれたんだけど


実際、そんなお誘いは1度もなく…嶋中くんたちとの花火にも南くんは来なかった。



って、その前に南くんの連絡先も知らないんだけどね。そう言えば。


「なんでぇ?絶対、嶋中くんの話聞くの嫌だからキスした=ヤキモチ妬いたってことでしょう?」


普段、穏やかな茉央ちゃんが珍しく荒ぶっている姿を見て思わず笑ってしまう。


「ちょっと、佑麻ちゃん笑い事じゃないよ?ファーストキス奪っといて何のアクションもないなんて、男としてどうかと思う!」


…うん、確かに言われてみれば。

キスされて動けなくなった私とは打って変わって、南くんは本当に何もなかったみたいにいつもの南くんに戻ってしまった…