学校祭の事前準備に追われて、めまぐるしく日々は過ぎて行った。


巨大迷路はダンボールも足りて無事に出来上がり、いよいよ今日が文化祭本番。


調理部で出すと決めたマーブルクッキーをカバンに詰めて、少し早めに学校へやってきた。



調理室に顔を出すと、すでに3年の先輩がいて「おはよう」と声をかけられる。



「おはようございます、マーブルクッキー持ってきました」



クッキーが入った手提げカバンをそっとテーブルに置いて、中身を取り出す。


織田さんと練習した甲斐もあって、今回のはうまく焼けたと思う。



「わ、上手」


「うん、綺麗に焼けたね。これならすぐに売り切れちゃいそう」


「ホントですか?ありがとうございます」



先輩たちの笑顔と言葉が嬉しくて頬がゆるむ。


最初の頃はどうなることかと思ったけど、調理部に入ってよかった。



「前にも話した通り、売り子は2人ずつで2時間交代ね。市口さんは織田さんとペアで、12時からだから」



「はい、頑張ります!」



最初の2時間は1年生の2人が売り子をして、その後が私と織田さんの番。


お昼を過ぎてからがピークで1番忙しい時間帯らしく、3年の2人が売り子をする頃にはもうほとんど何も残っていないんだとか。