「は、こんなもんかよ?なあ」



夜の公園は薄暗く、夏の夜は湿った空気が体にまとわりつく。
ベンチでいちゃついていたカップルは消え、オヤジ狩りにあいそうになっていた気の毒な40代半ば程度のサラリーマンもいなくなっていた。

サラリーマンは逃げるときにご丁寧に俺なんかに頭を下げていった。
別にあんたを助けたかったわけじゃない。
ただ、暇だっただけなんだから。






俺は冷めた目付で足元に倒れている5、6人を見下ろした。


俺の街でオヤジ狩りなんてセコイ真似するから、こういう目にあうんだよ、と視線でもってして相手にわからせる。いや、その前に実力行使もしていたわけだけど。

その中のかろうじて軽傷の部類の1人がぴくりと動き、俺を見上げて恨めしげに俺の名前をつぶやいた。







どいつもこいつも弱ぇ。暇つぶしにもならねえ。
いっそやらなきゃよかったと思えるほど、無駄なことだった。







俺はふかしていた煙草を地面に落し、履いていたハイカットで揉み消しすと、ネオンの方へと歩き出した。