「誰かいないのかー?我こそはやってもいいって奴!」



教卓の前で担任の先生が面倒くさそうな声を出す。


さっきから何回も同じ言葉が繰り返されているけど、誰も名乗り出る人はいない。


HRが始まってすでに20分が経っていた。


このままだと決まるまで帰れそうにない。


私が通う高校は少し変わっていて、1学期の6月に学校祭がある。


校長先生の誕生日が6月にあるとかで、それをお祝いする意も込められて毎年6月に行われているらしい。


クラスで学校祭委員を決めるために、今日はこうして残されているわけなんだけど。


いわば雑用係みたいな学校祭委員をやろうって人は、当然のごとくいないわけで。


もちろん私もその中の1人だ。



「誰かいないのか?決まらないと帰れないぞー。斎藤(さいとう)、お前はどうだ?やらないか?」



先生がクラスの中を見回して適当に声をかけて行く。


斎藤君は虎ちゃんと1番仲が良いバスケ部の男子で、よく一緒にいるのを見かける。