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瀬戸文章さま



アキさんのお噂は、かねがね聞いております。


先日も藩主さまに見出されて君側に侍したと伺いました。


たいそうご出世でおめでとう存じます。


時勢は険悪になり、騒然たる世の怒濤のなかへ身を挺していかれるアキさんの御身を案ずるほか何も出来ず、歯がゆい想いが増すばかり。


「こんど帰ってきたら……」


以前そんな一語を残し、私の元を去った事を覚えておいででしょうか。


私はその続きがたいそう聞きとうございます。


どうか、御無事で。


お帰りをお待ち申します。



秋月艶子



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