「高野くんって、本当に彼女いないの〜? モテそうなのに」
「いるわけねーし、モテないよ」
「えー、ウソだー」
昼休みの教室で、わたしは杏子とお弁当を広げていた。
「ウソじゃないって! 俺、意外と一途だし」
「なーんか、ノリがチャラいし軽いよね〜」
「え? どこが? ショックなんだけど」
さっきから何度も続くこのやり取りに、胸が痛くてどうしようもない。
さらには食欲もなくなってきて、わたしは食べかけのお弁当箱のフタをそっと閉じた。
杏子はすでに食べ終わっていて、机に頬杖をつきながら冷ややかな目でやり取りを見つめている。