「洸様ッアズ様ッ!
買ってまいりました!!」
徹夜で宿題をやったせいで痛い目をこすりながら教室に入ると、いっせいに取り囲まれた。
「な、何……何の話?」
「へぇ、もう買ったんだ。
いいのあった?」
……洸は何の話か分かっているみたいな言い方。
3日前のことなんて覚えているはずもないあたしが聞く。
「え? 何買って来たの?」
「やだアズ様あれですよ!
学ランです!」
……。
「学、ラ……?」
「さぁさお二人とも! ご試着ください!」
まるで語尾に音符でも付けそうなほどのテンションで、教室の後ろを指し示す。
ついたてで作った簡易な仕切りができていた。