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屋上で日向ぼっこをしていると、隣に立つ篠塚の頬を涙が伝っていた。
彼女のためなら好きな人さえ殴れてしまう。
それぐらい大好きで大切な女の子の頬を、涙が伝っていた。
篠塚の涙を見るのは二回目だ。
冷たい風にさらされて、雫がふるふると震える。
日の光は雫を輝かせた。
思わず見とれてしまうほど、綺麗な涙。
「やっぱり、私……女の子が好きなんだよ!」
なんで泣いているのか、なんて声を掛けたらいいのか迷っていたら、篠塚は突然叫び走り出す。
「篠塚!? お、おい。危ないって……!」
篠塚は一直線に屋上のフェンスに駆け寄ると、それにしがみつきよじ登りだす。
キスしようと言われたときは篠塚の考えがわかるような気がした。
でも今は……わからない。
「舞ー! やっぱり好きなんだよぉ!!」
フェンスを半ばまで登り、そこにしがみついて叫ぶ。
青い空に、茶色いグラウンドに向かって。
ホームルームが始まる時刻で、学校は静まり返っていた。
そこに、篠塚の告白が響く。
篠塚の向かう方角に三笠は引っ越して行ったんだろうか。
「同性が好きで、なにが悪いんだ!!」
涙が乾かないまま叫ぶ篠塚に思わず笑みがこぼた。
俺もゆっくりとその隣に立ち、フェンスにしがみつく。
「青山ー! 好きだー!!」
さすがに登りはしないが同じように叫んだ俺に、篠塚が驚いたように振り向く。
ぱちくりと目をしばたたかせていたが、俺が笑いかけると篠塚もにっこりと笑う。
そして二人、真っ直ぐに前を見つめた。