今日のプールは終わりました
北中
 午後3時30分。
 全ての生徒が引き上げるのを見届けると、憲治はそそくさと戸締まりをしてフェンスに終了札をかけた。
 確かめなければならなかった。昨日の出来事が夢ではなかったと。もし夢だとしても、許されるならばもう一度その夢を見たい。あの「少女」に会いたい。あの夕暮れの約束のままに。
 彼女がヒトではない、別のモノであることは解かっているつもりだが、あの美しい微笑みを傍で見ていられるのならばそれもかまわない。何よりも、彼女は今の自分を誰よりもよく知っている。