「あー……、どうしよ……」


「どうかしたの?」


「由美……陽の試合なんだけどね……」


「陽くんのお弁当を作りたいの?」


「うん……。でも、陽ってなにが好き?」


「陽くんの好きなものかぁ……。絢?」






あたしが悩んでいる最中の急な由美の冗談。

一気に顔が赤くなるのを感じた。
由美……。






「ごめんごめん、冗談」


「由美ぃ……」


「うーん…陽くんの好きなものかぁ……わかんないなぁ……」






由美でもわからないのに……。
あたしなんかじゃあ、余計わからない。

想像もつかないし……。


あたしは明日が試合の陽のために食材調達に行く。

でも、なにが好きか想像もつかないから……
ありきたりな卵、野菜、お肉しか買わず。


試合当日。

お弁当を作り、制服を着てバスケの会場へ……。



由美は来ないのかな?






「俺の応援?」


「優?」





入り口で立っていたら、うしろから声をかけられた。

ユニホームを着て、
その上から部活のジャージを着ている優がいた。





「優の応援じゃありません」


「ひでぇ。ま、観てればいいからな」


「陽しか見ません」


「ハハッ。すがすがしいくらいにつめてぇな」





そんなことを言ってたって、優を応援しないわけない。
バスケのときは応援したい。

だからあたしはニコッと笑って優に言った。






「嘘! がんばってね! 応援してるから」


「……おう! 陽より目立ってやるよ!」


「それはダメ」


「嘘だって! でも、俺も……みて……」