コンコン、


「・・・。」

部屋でぼうっとしていると、ノックの音が聞こえた。

どうせ母親だろうと思い、無視をしていればがちゃりとドアは開く。

「ことり、」

少し控えめに自分を呼んだのは、風呂あがりの兄だった。

「風呂開いたから、次入れよ。」

「・・・うん。」

「今からコンビニ行くんだけど、何かほしいものある?」

「いらない。もう私なんかに構わないでよ。」

ことりはばっと立ち上がり、陽の横を通り過ぎて風呂場へ向かおうとする。

陽は、それを腕を掴んで反射的に止めてしまった。

がしっ、

「な、何。」

「俺、何かした?」

悲しそうな、真剣な表情で問いかけてくる。

「っ、別に・・・」

「ことりは、俺の事嫌い?」

ドクン、と心臓が鳴った。

どうして陽が悲しそうな表情を見せるのかもわからないし、

いちいち自分に構ってくる理由もわからない。

今まで陽に対して酷い態度ばかりとってきたのに、

優しくされる理由もわからなかった。


「大っ嫌い。」


吐き捨てるようにそういうと、

ことりは兄の手を振り払い風呂場へと歩いていく。

そんな妹の姿を見てため息をつくと、気晴らしにコンビニに向かおうと

足を運んだ。