◆◇◆◇




本当の自分がどんなだったか、


忘れてしまうときがある。















「声を、出さないで」



後ろから抱きしめるように、


あたしの腰に回されたしなやかな腕。


そして、口をふさぐ、大きな手。



突然の出来事に、


準備室のドアに手をかけていたあたしは、


声を上げるどころか、呼吸さえも出来なかった。