「……本当、そうして下さい」


申し訳無さそうな少女の表情、そして、それを庇うような少年の完璧な微笑み。

恵理夜は、この少女を心を傷つけてしまったことを悟った。


「ありがとうございます」


春樹、ハンカチを下げながら頭を下げた。


「ええ、本当にありがとうございます。ぜひ、お二人の方こそ良い時間を……」


恵理夜は、謝罪と祈りを込めて微笑んだ。


そして、春樹を先導するようにホールへと足を向けた。