豪奢なシャンデリアに彩られ、オーケストラによる上品な音楽が流れている。

そして、そこにいる全員が仮面をつけている。

そう、まるで仮面舞踏会のような光景だった。


「不思議な光景ね」


目の部分を覆う、ドミノマスクを直しながら恵理夜は言った。


「今が、丁度開場時間ですから、これからどんどん人が増えるでしょう。誰が誰だがわからなくなりそうですね」


春樹も、自分のマスクを直しながら言った。

春樹のマスクは、顔の半分を覆う黒のハーフマスクだ。

それは、スタイリッシュなオペラ座のファントムを思い起こさせた。