お嬢様――そう呼ばれた恵理夜は、青年の詫びの言葉にも不機嫌そうに眉を寄せた。


しかし実際、恵理夜は普段のセーラー服からは想像も出来ないほど上品な雰囲気をかもし出していた。

漆黒の長い髪はそのまま下ろされ、背中半ばにまで流されている。

普段のセーラー服なら、あどけない少女の雰囲気も出せるが今日のドレスは特別だ。

上質のシェフォンチュールを何層にも重ねられたワンピースドレス。

重ねられたシェフォンは全ての色と丈が統一されておらず、どの角度から見てもアンシンメトリーな個性的な印象だ。


ホワイトデーに贈られた、恵理夜のためだけのドレスだ。