「お前さ、あんま甘いもんばっか食ってっと虫歯になるぞ」


「大丈夫。ちゃんと歯磨いてるから」


「ちゃんと磨いてても虫歯になる時はなるんだよ」


「ねぇ、そのプリン頂戴」


あたしは颯の目の前に置いてあるプリンをスプーンで指差した。


「嫌だよ。だいたいこのプリン、お前が珍しく俺にもくれるって言って自分で俺にくれたんじゃねぇか」


「でも、まだ食べた形跡がないよ。って事はいらないって事でしょ?」


「んじゃあ、今から食うよ」


「え…」


「…何だよ……」


「食べるの?」


「…おう…」


「そっかぁ…食べちゃうのか~…そうか~……」


「何だよっ、食べちゃ悪いかよっ」


「いいよ…食べなよ…毒入ってるけど…」


あたしが最後に小さい声でそう言うと颯は溜息はいて、


「…分かったよ。そんなに食いたいなら食えよ」


あたしの目の前にプリンを差し出した。


「え!本当?!良いの?!」


「…あぁ」


「よし。今のでプリンの中に入ってた毒は全て消えた!」


あたしはプリンのカラメルの部分をスプーンですくった。