雨は激しさを増してどしゃ降りになってきて


それでもあたしはその場から離れることができなかった。



人を好きになることは幸せなことなのかもしれない。



だけどこんなにドロドロとした苦しい気持ちになるなら



あたしは恋なんて知らないままでよかった――……




「……聡ちゃんのバカ……」



涙と雨が流れる空間に迷いこんでしまったあたしは



聡ちゃんが帰ってくるアパートには帰らなかった。






第3話:終わり