「んじゃ、行ってきます。」
「いってらっしゃい。」

母に見送られて家を出る。頭はまだ寝ぼけたままだが、遅刻はしたくなかったので、早起きした。

朝は苦手なんだよな・・・

どうしても起きられない。布団から出たくなくなる。休みの日とか普通に午前中は寝て終わる。

眠たい目を擦りながら、歩いていると、突然後から大きな物音がした。
音に驚いて、思わず後ろを振り返る。

振り向いてみると、そこには見たことのない子が倒れていた。
倒れ方を見るかぎり、大方石か何かに躓いて、転んでしまったのだと思う。

「・・・・・・・・・」

数秒の沈黙。
振り返ったのはいいもの、全く知らない子なので、助けるにも助けられない。
これが、漫画や空想の世界なら「大丈夫!?」とか言って、友情が始まるのかもしれない。

だが、残念ながら現実はそんな簡単に出来てはいない。
初めてあった人に手を差し延べるほど、私には度胸は備わっていなかった。

このまま何もしないでここに立ち止まっているのもなんだと思い、そのまま見なかったことにしてしまおうと思い、立ち去ろうとした。