―総理官邸――――――

二人は着いてすぐに、応接室に通された。
そこには、我が国の首相、颯峰 圭一 がソファーに座っていた。
灑梛達が入って来たのを満面の笑みで見つめると、話し始める。

「やぁ、灑梛ちゃん、瑞希くん。高麗に話しは聞いたよ。四神学園の高等部に通うんだね?」
『はい。…父上の、勝手な判断ですが。』

ニコニコしながら訊いてくる颯峰と、相変わらずの無表情で話す灑梛。

「フッ…良いんじゃないかな?」
「え…?」

瑞希が目を見開いた。
一体、何が良いのか。血に濡れた自分達が、まだまだ青天白日な令嬢や子息の中に混ざっても良いと言うのか――――?

「確かに、あそこに通っている生徒達は、皆、純粋だよ…。でも、だからこそ、敵はすぐに、見つかるんじゃないかな?」
『しかし、それでは…相手にも、私達の存在が知られてしまうのでは、ないでしょうか。同族なら尚更』
「うん、確かにその危険性は十分あり得るよ。
だけどね、それを最後までひた隠して、周りを欺き続ける事が出来れば良いんじゃない?
知られたなら、その場で切り捨てれば良い。

それが出来る君達だからこそ!…高麗は、二人を 三席と四席に抜擢して任務を与えているんだ。」

颯峰は、微笑みながら語った。