数十分すると、サイレンの音が聞こえ始めた。

元旦に開いている病院なんてきっとないから、時間がかかったのだろう。


「1人だけ乗ってください。」

そう言われた。


「美憂、行けよ。」

「っでも……」

「あーもうっ!いいからっ、早く行けって!」

「ありがとう…っ」

遼に軽く背中を押され、救急車に乗り込む。

ガラス越しに見えたのは、真白が手錠をかけられる姿だった。


「大ちゃん……」

応急処置が行われるなか、あたしは大ちゃんの手を握っていた。

助かりますように…っ

そう願って。



病院につくと、大ちゃんは担架に乗せられて、手術室に運ばれていく。

握っていた手が、スルリと抜け落ちた。


「誰か…助けて…っ」

誰に助けを求めても、返事なんて返ってこない。

「大ちゃ、ん……っ……」

大ちゃんがいなくなったら、あたしはどうすればいいの?