チラチラと舞い降りていた微粒子のラメは装置が止められていたので床にたくさん落ちていた。

でもそれ以外は昼間見たままのディスプレー。


「ようこそっ!蓮プレゼンツ、スウィートバレンタインへ!」

「お邪魔します……」


手招きされて私は足を踏み入れた。

暖房なんてついてないからショーウィンドウの中は外と変わらないくらい寒い。

冷たくなった手に息を吹きかけていると、蓮さんは優しい表情で見てきた。


「しっかし、危うく素敵な偶然も残念な必然になるとこだったよー」

「どういうことですか?」

「前、菜月ちゃんと会った時間帯目指してここに向かってたんだけどね。

なんと!電車が遅れてたの!ひどいよねー。バレンタインの日にさ。

俺、超走ったんだよ!だから今、体がポッカポカ。菜月ちゃん寒そうだし、抱き締めたげよっか?」


茶化すように笑う蓮さんに私は抱き締められなくても体が熱くなっていた。