期待、してなかったし。
デパートはシャッターが閉まっていた。
作業中なのか、作業が終わっているのか、それさえもわからない。
私はため息を吐いて、ガードレールに腰掛けた。
そしてあの日見た蓮さんと同じ格好をしてみる。
「次はどうなるのかなー……」
今日は夜中でも人通りが多くて、シャッターが閉められているショーウィンドウと私の間をたくさんのカップルが往来して行く。
「日付変わったのに……まだバレンタインなんだ」
1組のカップルを眺めながら何気なしに呟く。
冷えた空気に掻き消えると思われたその声を聞き取った人がいた。
「えー!?まだまだバレンタインなんじゃないのー?」
……へ!?
背後から聞こえた声に心臓が飛び跳ねる。