「あぁ…左耳だけな。」

「何で?」

「特に意味はねぇけど。まぁクリスマスプレゼントっつーか……よく分かんねぇ。」

クリスマスプレゼント?

「誰からの?」

聞くと大ちゃんは平然とした顔で、あたしの方を見ずに「光紀」と言った。

…………え?

「えっ!斎藤君から?」

「おう。」

「つけるためにわざわざ穴あけたの?」

「…………まぁ。」

大ちゃんってば優しい。斎藤君には冷たいのかと思ってたのに。


「そのピアスって元から片方しか入ってなかったの?」

「んなわけねぇじゃん。」

「だよね。で、もう片方は?」

「光紀に盗られた。」

光紀に盗られた…?

クリスマスプレゼントにあげたものをとるって……ある意味凄い。

なんのためにあげたんだろ。


「その盗られたピアスは?」

「光紀がつけてんじゃねぇの。」

「おそろいなんだ。」

あたしがそう言うと、大ちゃんはピタリと止まって振り向いた。