そうして今、私のことを覚えている人はいない。



そして今の私がいる。








「・・・・俺がお前を初めてみたのは小学生のときだった」


鈴宮がおもむろに口を開いた。




「その時の俺もピアノをしていたけど、つまらなくて嫌々弾かされていたんだ。

そしてお前と同じように親の進めでコンクールに出るようになった。


皮肉にも楽譜通りにただ弾いている、気持ちのない演奏でも
なぜか優勝だった」


鈴宮はフッと懐かしそうに笑う。




小さい頃の私とは反対―?




「ちょいもんだと思った。
こんな俺でも優勝できるんだからって。

でも・・・・そんなときに
お前に--

奏に会った」




私と--?