「亮介さん…」

振り向けば、いつもと感じが違う亮介さんが立っていた。

「夕べは、この人と…?」

「そうよ。マスターの家にお泊りしたの。マスターとは本当はそういう仲なの」

私はそう言ってマスターの腕を持って寄り掛かり、ニコッと笑って(笑えてるかは分からないけど)亮介さんを見上げた。

「そうか…」

亮介さんはそう一言呟き、悲しそうな顔をした。

私は亮介さんを怒らせるつもりだった。あるいは呆れさせるつもりだった。そして「尻軽女!」とか言われて、二人の関係をこれで終わらせようと思った。

なのに、どうしてそんな悲しそうな顔をするの?