「まだ・・・残してあったんだ」

少し嬉しくなった。




奏は全てを捨てたわけじゃなかったんだ。


良かった…




「鈴宮くん、って言ったわよね?」


奏のお母さんは俺を見上げる。



「はい」



「鈴宮って、もしかしてあの・・・」



あぁ。さすがに気付いてしまったか。




俺は優しく微笑んだ。