「安城…、泣いてる？」


苑塚の声。


その声に、体は勝手に反応する。


「泣いてなんか、ない」


そう呟く私の声は、誰が聞いても涙声とわかる声で。


私は、久しぶりに、友達の前で、悲しみの涙を流した。



「……………、ごめんな、安城」


違う、違うよ。


苑塚は悪くない。


区別できない私が悪いんだよ。


「俺なんかが、恋人役で、ごめん」


謝らないでよ。


余計に、涙出ちゃうじゃん。



苑塚が嫌なんじゃないのに。


涙は止まらなかった。