「か、彼氏がね…っ、ハネの…病、で、」

「うん」

「あたし、そんなこと、しっ、知らずにキス、しちゃっ…て…」

「うん」

「あたしバカだから、キスで感染しちゃうって、知らなくて…」

「うん」

「『バカだな』って、笑われたの…っ、『お前も道連れだ』って…」

「…」

「その時、コウスケに会いたいって思ったから、そのまま来ちゃったよ…」

「…うん」

「もっと早く、コウスケへの想いに気付いてたら、こんな死に急ぐことも、なかったのに…」

「…それは、俺もだ。ごめん」



これは、不幸か幸福か。


結ばれた途端に、最期がそこまで迫ってきているなんて。



「もっとコウスケと、生きていたいよ…長いこと一緒にいたけど、全然足りない…」




あと何回、こうして抱きしめ合うことができるのだろう。


時が止まってしまえばいいのに、と願いながら目を閉じた。