「なにか嫌なことでもあったの?」

なんか今日の由希は元気がない。いつもこんな感じだけどなんとなく落ち込んでるように見えた。

今日の佳奈の予想は当たるんだからきっとこれも当たってるはず。


「うるさい黙れ」

由希から久しぶりに返事が返ってきた。っと言っても今まで『うざい』と『うるさい』しか言われてないけど……。

それでも佳奈は嬉しかった。


〝由希は遠回しな女は嫌いだよ。仲良くなりたいなら直球でいかないと〟

優芽の言葉を思い出して佳奈も直球で行くことにした。きっと由希はやり過ぎぐらいの女じゃないと見てくれないから。

佳奈は大胆に寝ている由希にまたがってみた。


「おい、重いし止めろ」

また返事が返ってきた!

優芽の言う通り王子様には直球だ。佳奈は勇気を出して王子様にキスをしてみた。

普通は王子様がお姫様にキスをするけど普通じゃないからそんなの気にしない。本当は佳奈だって誰かのお姫様になりたいけど。

できるなら由希のお姫様。


由希はキスをしても嫌がらなかった。腕を掴んだらいつも払うくせにキスは拒まないんだ。

そういえば優芽が言ってたな。

由希は面倒なことは嫌いだけど、なにも求めなければ誰でも受け入れてくれるって。

なにも求めなければって…例えば愛とか?

由希の彼女になりたいとか?

言い方変えて佳奈だけの王子様になってもダメ?


でもいい。今はいいの。

佳奈は由希に触りたい。

たぶん由希はなにかあったんだと思う。顔が少しだけ寂しそう。それなら佳奈が慰めればいいんだ。